1st CD「REMEMBRANCE」を発売しました!

私、小巻健の初めてのCDアルバムが本日発売日を迎えました!

と言いましても、自主制作で10月半ばに手元に納品されていましたので、すでに買っていただいた方もいらっしゃいますが(笑)

 

このCDを作ろうと計画したのは、昨年2017年の春頃。

4年前に初めての森林公園でのリサイタルを行った際に動画撮影していただいたSCIREの山田勇人君に相談を持ちかけたのが、製作のスタートでした。彼は私の初リサイタルの直後に映像クリエイターとしての個人事業を立ち上げられ、以後、三木市を拠点に様々な素晴らしい仕事をしてきておられます。初リサイタルの後、彼から「次はぜひCDも作りませんか」と声をかけてもらったのがずっと頭の片隅に残っていたのですが、今回、自身の5回目のリサイタルに合せて作ってみよう!と思い切って実行しました。

 

CDを作るにあたっての私のイメージは2点。ひとつはなるべく自然な音響で作りたい、そしてもうひとつは何かテーマを持った作品を作りたいということです。

 

まず録音は、このたび贅沢にも三木山森林公園音楽ホールで全曲録音を行いました。試しにテスト録音をしたのが昨年8月でしたが、ちょうどセミの声が大音量サラウンドで録音物に収められてしまい、録音期間はセミの声がない時期ということで翌年の6月までに全録音を終了することが決定。夕方になるとカラスの鳴き声がホールに響いたり、天井に木から何か落ちて当たる音がしたり、冬場は暖房を入れているとパチンパチンという音が響いたり・・・と、自然な音響にずいぶん悩まされながら(笑)約2か月ごと計6回で15曲を録音しました。

 

そして作品テーマですが、これは最初からはっきりと固まっていたわけではなく、録音しながら徐々に絞っていきました。

決定的だったのは、ジャケット写真をどうするかを決めた時でした。特にイメージのないまま録音だけが進んでいきましたが、今年の3月末、桜満開の中を事務所から市役所へ歩いて向かっていた時、古い商店街から坂を上ったところで目に入った古びた木造校舎とその横にある大きな桜の木・・・そうだ、ここだ!と閃きました。ここは三木城跡公園から上の丸神社を抜けたすぐにある、旧三木女学校跡の建物で、数年前までは埋蔵文化財の展示をしていたのですが、隣の図書館が「みき歴史資料館」になって展示品がそちらに移動して以来、がらんとしてしまって、来年度以降の取り壊しを待つ身となっている建物です。

上の丸のこの辺り一帯は、私が子供時代を過ごした思い出の場所で、趣のある校舎がなくなってしまう前に収めておきたいと思い、桜が満開の時期を狙って山田君に撮影していただきました。木造校舎とギター、同じ「木」の温もりと味わいを感じる共通点もあり、非常に素晴らしいジャケット写真を撮っていただきました。

私自身の子供時代の思い出深い場所、そしてここで学んだ経験のある方々にとってもきっとたくさんの思い出が詰まった場所・・・そうしたことを考えていくと、たまたま録音した曲の中にあった「思いで」という曲が、別の意味合いを持ってきたように感じ、同曲の英語タイトルが「REMEMBRANCE」(記憶)・・・そうだ、“REMEMBRANCE”を今回のCDのテーマにしよう!と決めた瞬間、これまで録音してきた曲にひとつの芯が通ったように感じました。

「思いで」と「さようなら」は、私の大好きな小説『夏の庭The Friends』の映画化にあたって作曲されたサウンドトラックからの音楽で、古びた廃屋に住む老人と3人の少年の「命と成長」の物語。そして武満作品の「ギターのための12の歌」からは、きっとこの校舎で過ごした生徒も昔好んで聴いたり歌ったりされていたであろう曲を4曲。また太平洋戦争時にまつわる「一億の祈り」(映画『火垂るの墓』)、「Merry Chiristmas Mr. Laurence」(映画『戦場のメリークリスマス』)は、ちょうどこの建物と同時代の、忘れてはいけない記憶を呼び覚まします。校庭の桜の木からは日本古来の「さくらさくら」の素朴なメロディーを想起させます。

そして最後には私が作曲した初のギター作品「いつかの記憶」。割と地味な曲ですが、収録するには結構勇気が要りました(笑)。元々は2016年に図書館で行われた「絵本と音楽のライブ」の時に上演した『たね どんどん』(延原清子作、せしようこ絵)のために作曲した音楽だったものを、エンディングの部分のメロディーをギターソロ用にアレンジし直したのですが、この物語に出てくる主人公の「たね」が、自分が生まれたさびしい岩山を飛び出し旅をして最後に辿りついた所が、どこか懐かしい記憶のある場所だった・・・というストーリーから、CDのテーマにも合わせて曲名を「いつかの記憶」としました。「いつか」は過去であり、また経験していない先の記憶のフィードバックかもしれない・・・なんていうことを想像しながら、ジャケット写真を見ると、まるで桜の木が「たね どんどん」の木にも見えてくるのが不思議です。「絵本と音楽のライブ」に関わらせていただき今年で4年目となりますが、作曲するきっかけとなったこの企画にこれからも関わり続けることで、また自分の幅も広げていきたい、いずれは自作曲でCDを作れたらいいなあ、なんて妄想も膨らんでいます(笑)

 

・・・と書き出すときりがないのですが、とりあえず現時点の私の到達点と「私らしさ」が出せたCDになったのではないかと自負しています。聴いて下さった方が良かったなと思っていただければ幸いです。

 

最後に、録音・撮影・ミキシング・マスタリング・デザイン・入稿まで全て一人でやっていただいた山田勇人君に感謝。素晴らしいセンスの持ち主で、彼の存在がなければこのCDは出来ませんでした。

 

 

みなさん、ぜひ買って下さいね!!

 

 

小巻健1st CD「REMEMBRANCE」2,000円(税別)

販売は演奏会会場か、もしくはこちらから注文できます→https://mailform.mface.jp/frms/takeshikomaki/jbz8ljozwth5